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臨床心理士として大学での教鞭をとっていらした経験をお持ちながら、民間療法の世界へ移られた長野県に在住の先生。西洋医学を学び、実践してきたからこそ見えてきた問題点、民間療法に見た可能性とは・・・?
阿部先生のホームページ >> いやし堂
野中 先生は北海道医療大学の助教授という経験をお持ちで、臨床心理士として実際に医療現場でご活躍されていたそうですが、なぜ医療現場から離れて民間療法の施療院をはじめられたのでしょうか?

阿部 私はずっと臨床心理士として様々な経験をしてきました。パニック障害やうつ、自律神経失調、登校拒否など本当に色々な精神障害の患者さんに接してきたのですが、そこで言葉でのアプローチの限界を感じたんです。例えば、パニック障害の患者さんと言葉でやり取りしても治らなかったものが、階段から転んで骨折したら治っちゃったんです。他にも登校拒否の子供に呼吸法を教えたら教室に入る事が出来たり・・・とにかくいくら心理テクニックを用いても結局大した改善ができない事を体験してきました。

野中 心理療法について詳しく存じ上げませんので素朴な疑問なのですが、心理療法で用いられるテクニックというのは効果があるから伝えられているのではないのですか?

阿部 もともと心理療法というのは西洋医学が基盤にあって成り立っています。西洋医学というのは解剖学にしても生理学にしても全体を見るという視点が無いんです。ですから精神は精神の問題、身体は身体の問題という教え方をしますし、そうなると臨床心理士の持つ視点というのは精神のみになってしまいます。それじゃ改善しないという事を経験してきました。特に心理療法の場合、ごく一部の人にしか意味を成さないんです。老若男女、職業、生活環境問わず効くものじゃないんです。何故かというと
患者側の言葉の理解度によっても結果は左右されますし、特に精神分析になってくると語彙が豊富じゃないと回復しないんです。

野中 なるほど、心理学に限った事ではありませんが、一般的に使われていない言葉や専門用語であればあるほど意味は伝わりにくくなりますよね。言葉による改善を目指すわけですからボキャブラリーの量に結果が左右されるのも考えてみれば当たり前ですね。

阿部 それに今の子供達は昔に比べて日常で人と会話をする機会が少ない様に思います。ゲームやパソコン、テレビなど生活環境が大きく変わったことで実用的な言葉を学ぶということが難しくなってきています。大人だってそうですよね。その方達が患者としてくるわけですから、自ずと言葉による改善というのは難しくなるのは当然です。

野中 先ほど少しお話がありましたが、先生が現在こうして民間療法に取り組んでいらっしゃるというのは、精神障害の患者さんに対して民間療法が効果的だったというご経験があるからですよね。

阿部 そうです。例えば札幌にいた頃にパニック障害の主婦の方を担当した事があるのですが、いらした時にはもう過呼吸発作の状態だったんです。過呼吸発作の状態というのは通常、心理学ではどうしようもないんですよ。それを僅か20分くらいで改善させる事が出来ました。その時何をしたかというと、カウンセリングじゃないんです。

野中 何をされたんですか?

阿部 答えは簡単、脊椎の詰りなんです。それを取り除いただけで過呼吸発作が止まったんです。これは西洋医学ではなく、整体やカイロプラクティックなどで使われている理論です。
これはね、正に現代医学の盲点ですよ。背骨の状態が臓器の状態を反映しているというのは西洋医学のお医者さんには分からないんです。

野中 それは何故分からないのでしょうか?

阿部 教わってないからですよ。だからそういう発想に至らないんです。整形外科にいったって背骨のずれは見つけても「ずれてますね」で終わりですよ。それで牽引するでしょう。ただ引っ張ったって戻るわけ無いんですよ。




野中 先生ご自身の施療法を西洋医学主体の療法から民間療法へと移行された転換期はいつだったのですか?

阿部 転換期はね、やっぱり末期の患者さんを相手にしていた時ですね。大学卒業して3年間精神科に勤務して、4年目から筋ジストロフィー症の患者さんのターミナルケアに入ったんです。私が勤務していた頃はだいたい22,3歳で亡くなってしまう病気だったんです。その彼らにターミナルに入る前のケアとして「自己の成長」という精神療法をやっていたんです。でも、やっぱり限界があるわけです。
死んで行く人たちに何にも出来ないんですよ。

野中 ただ見守るしかないんですか?

阿部 見守ってくれるんならまだ良いですよ。みんな逃げ出して行くんです。死期が近づくにつれて要求が多くなるから「面倒くさい」「怖い」で医療従事者側が逃げるんですよ。奇麗事じゃなかったですね。そんな中で何か出来ないかと考え、東洋医学的なアプローチをするようになったんです。すると、「よく眠れる」とか「不安がとれる」とか今までに無い即効性があったんです。そういうところから民間療法に興味を持ったんですね。それから世界中にある色々な手技療法の勉強を始めました。でも本格的に使い始めたのは大学で助教授として教え始めてからですね。勿論その前から病院ではやっていましたけど、勉強しながらという感じでしたから・・・

野中 目の前の患者さんを少しでも楽にしたいという先生のお気持ちは素晴しいものだと思います。先生は学会などで民間療法を用いた臨床の結果報告などはされたのですか?

阿部 しましたね。90年代後半から心理臨床学会などでは発表するようになりましたけど、でもやっぱり批判されますね。「先生がやっているのはただのほぐしじゃないか」ってね。結局、自分が正しいと思ってしまっている人達には違う世界の現実は受け入れられないんでしょうね。
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