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野中 先生は大学で講師としてご活躍をされていた経験をお持ちですが、大学では講義の中で民間療法の有効性についてお話をされる事はあったのですか?

阿部 
大学ではですね、色々な先生方がいらっしゃるから取り合えず西洋医学のことしか教えなかったです。それに、民間療法がいくら有効だといっても学生達が信じてくれないんですよ。「え〜」「嘘だぁ」「本当ですかぁ?」という感じでね。だから助教授時代は正直言って教えるのに苦痛を感じていましたね。

野中 そうなんですか?それは意外ですね。先生はご自身の体験をお話されていたんですよね。

阿部 そうですよ。でもそれはね、
実際に民間療法で改善したという現場を見ていないからだと思いますよ。実際に体験してみればマジックでも何でもないですから。整体みたいな事が一番流行ったのは大正の一桁時代なんですよ。明治生まれの人達が武道から派生した療術を蘇らせたんですね。その時代の先生方は色々な病を2,3回で完璧に改善させるような技術を持っていたんです。それが戦後、学問にさせられてしまって技術の伝承がされて来なかったんですね。

野中 技術の伝承というのは知識じゃなく、
出来るか出来ないかという感覚の世界ですよね。

阿部 そう、それは臨床心理の世界でも同じだったんですよ。昔の人たちの学び方っていうのは例えば行動療法というものを習ったら、
それが実際に効くかどうか自分でやってみたんですよ。それでこれは効く、効かないという様に確かめながら学んできたんですけれども、今はそういう人は少ないですね。学び方も知識優先になってしまってね。どれだけ人の知らない事を知っているかで、凄い、凄くないを判断するようになっていますよね。だから難しい言葉は知っているんだけれども、それが現実にどう役立ってくるのかを問われると途端に話せなくなる人が多いんです。

野中 確かに知識というのは、日常に役立てられてこそ意味が出てきますよね。



阿部 今は私も整体を教える学校をやっていますが、その講師としての経験からも知識優先で教えると育っていかないという事はいえると思います。若い人たちを見ていると想像力と感性が乏しい事に気付かされます。何かを感じて想像するというのは一番大切なことだと思うのですが・・・そこが欠けていていくら
知識ばかり増やしても役に立てられないんですよ。それは日常生活もそうだし、整体のような技術も同じです。

野中 確かにそうだと思います。ただ、理論をずらっと並べられると何か正しいような気がしてしまって、出来るような錯覚を起こす事はよくある事だと思います。

阿部 もちろん理論が悪いんじゃありませんよ。ただ、
理論は検証しないといけませんよね。その検証の仕方が問題なんです。自分でやってみないで人がやったものを信じるというのはどうでしょうか?特に日本人は権力や権威に弱いところがあって、偉い人が言うと何でも正しいと思ってしまう風潮がありますよね。

野中 そうですね。そういう意味では医者というのは一つ権威となっていますよね。ただ、我々のような民間療法者にとっては権威より結果が大切になってきます。自分で結果を出せなければ、お客さんは来なくなりますし・・・やはり結果を出せる先生というのは自分なりの理論をきちんと持っている方が多いように思います。。

阿部 そうです。頭で考えるより、やってみてどうかという事の方がはるかに大切だと思います。
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