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野中 今度は施術前の状況把握についてお尋ねしたいのですが、先生は開業当時と現在とでは身体の見方についてご自身で何か変化を感じられていますか?
菊池 そうですね。開業当時というのは症状を取りたいという思いが非常に大きかったように思います。ですから「今持っている自分の技術を全てぶつければ良い」というような考えで施術をしていました。しかし、例え痛みが取れてもその方の日常生活が元のままであればまた同じ症状を繰り返すということが分かってきたのです。ですから最近では施術者側がやる事と患者さん側がやる事を分けて考えるようにしています。
野中 いくら施術者が頑張っても、患者さん側が襟を正して頂けないと、根本的な改善は難しいということですね。
菊池 ただ、施術者の頑張りが果たして患者さんに受け入れらるものなのかどうかは別ですよね。私は中国整体やカイロ、気功など他にも様々なテクニックを勉強してきました。その中で、確かに素晴しい技術がこの業界にはあることを知ったのですが、それらのテクニックが一様に患者さんに受け入れられるものではない事も同時に知りました。
野中 と言いますと?
菊池 例えばカイロには上部頚椎のアジャストという技術がありますが、それだけを半年間やり続けた事があります。どんな方でもベットに寝かせてアジャストをして帰すわけですが、まぁ色々とありますよね(笑)。半年とにかくやってみると、改善する技術として上部頚椎というのは素晴しい事は分かったのですが、売り上げには結びつかない点がありました。なぜかと考えてみると、当院に対する患者さんの求めるものと、私が提供している事にずれがあったんでしょう。患者さんというのは色々な方がいて、中には例えば骨をボキッとされるのが怖い方もいるんですね。そういう人にいくら上部頚椎が良いからといってやってみても、やはり続かないんです。
野中 いくら良いテクニックであっても目の前にいる方にとって良いテクニックかどうかは別だと言う事ですね。
菊池 そうですね。これは面白いのですが、スタッフが複数いるとテクニックが凄い先生に必ずしも患者さんがつくわけではないということが分かってきます。患者さんは本当に治したくて来ている方もいるし、ただ話がしたくて来ている方もいるので、患者さんの欲求に答えられなければいくら早く改善させたところで、次には繋がらないんですね。だからその方が何を求めているのかを瞬時に判断する事も必要ですし、施術者も施術の上手い下手だけでなく色々な方向性があって良いと思います。ただ、自分は何を提供するのかは、はっきりと打ち出していかないといけないとは思います。

野中 何ができるかと言う点ですが、民間療法で出来る範囲と医者に任せる範囲の曖昧さというのは施術者の技量によって度々問題になりますが、先生はどの様にお考えですか?
菊池 民間療法や医者と一口に言っても色々なので難しい問題ですが、例えば一つに医者がどの様な基準を持って治療しているのかというのを把握する必要はあると思います。これはある整形外科のお医者様に直接聞いた話ですが、整形外科の「治る」という基準は、例えば「びっこ引いてでもトイレにいければO.K」というものだそうです。だから、一般的な考えとして整形外科に通いながら仕事を続けようというのは甘いんです。変な話、「腰痛だったら、治るまで会社休んで、リハビリをして、食事を気をつけて家で安静に寝てれば良い。それで痛みが取れてきたら何ヶ月かかけて自分で身体を鍛えて再発しないようにすれば良い」というのが一般的な整形の考え方だと思いますよ。
野中 そうなんですか。でも言われてみればそうかもしれないですね。
菊池 だから、治療に行きながら午後から会社に行くというのは考えられないみたいですね、整形外科からすると。
野中 そこの一番大切な基準というのは患者側には伝えない事ですよね。
菊池 患者さんには言わないですね。
野中 ただ、先生がおっしゃられるように、業界ごとの基準を知るというのはより良い治療、施療を選択する上で非常に重要になってくるものだと思います。
菊池 そうですね。もともと何故、整形外科がそのような基準を設けているかというと、錐体外路系などのように寝ていれば良くなるという理論がそこにあるからなんです。だから腰痛の患者が来ると実際に何ヶ月も寝かしたりするわけです。それは理論としては正しいのかもしれないですけど、患者さんの日常生活にそぐうかどうかは別の話ですよね。だからそれは受ける側も勉強する必要はあると思いますね。
野中 どういった基準を設けて施療しているのかというのは、医者に限らず、民間療法の世界でもクリアにしていくべきところだと思います。
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